君の名前を叫ばせてくれ!

 


よくある拗らせ、だと思っていた。

思い返せばこの2ヶ月間、頭の中の8割は末澤くんに独占されていた。なにがきっかけだったのか、いつからこんなにも嵌ってしまったのか、はっきりと思い出せない。じわじわと蝕まれて、気付いたときにはもう、すっかり手遅れだった。

 

末澤くんへの「好き」は、わたしの知っている『アイドルとしての』好きとはちょっと違って、なにかに例えるならそれは恋心に近くて。すごく戸惑った。こんな自分知らなくて、わたしらしくなさすぎて、自分で自分に引いてた。でも気付いたときにはもう止められなくて、いちど叫んでみたらしまっておけなくて。わざわざアカウントまで作って、来る日も来る日も末澤くんしんどい、好きって呟いていた。

 

どうやらただの拗らせではなさそうだ、と気付いたのが今月の初めごろ。 

 

 全面降伏だった。

自分の中での「担当」と「拗らせ」の明確な一線は、『アイドルとして100%の信頼を置けるかどうか』だった。元担さんにも担当くんにもそこには絶対の自信があって(もちろんそれだけではないけれど)、これまで応援してきた。だから、いつもどこか危うい末澤くんのことを、どんなに好きになっても担当とは呼ばないと決めていた。ほとんど意地だった。でもいつからか、そんな意地なんてどうでもよくなってしまうくらい、末澤くんのぜんぶが好きになっていた。

頭のねじが飛んで、冷静さを失って、もう自分の手には負えなかった。これが恋か、と。認めるしかなかった。

 

惚れたもんだから仕方ない、なんて西のお兄さんたちも言ってたし。惚れたが負け。でもそれでいいんだ。

 

末澤誠也くん、あなたに全面降伏しました。

これからは堂々と、大声で、あなたの名前を叫ばせてください。